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2024年1月22日月曜日

うらんぼんの夜

川瀬七緒。

夏休みの最中、女子高生の奈穂は自らが管理している畑で毎日の農作業に追われていた。

年寄りが多くて住人は500人もいない大百舌村という田舎で、9世帯からなる部落は、家族のような繋がりのある内部落と呼ばれており、奈穂の曾祖母は一番の長老として君臨していた。

竹藪の中に佇む風化して顔の凹凸もなくなり赤いよだれかけが何百枚も首にかけられた地蔵は、内部落の年寄りが大事に守ってきたものだったのだが、ある日、東京から引っ越してきて奈穂の同級生になった亜矢子がお参りをしてしまう。

古くからの伝統を重んじる内部落で次々と起こる不吉な出来事。

うらんぼんという特別な季節は、奈穂を翻弄するのだった。

地蔵信仰という変わったストーリーは川瀬ならではかも。
(^-^;)

2019年9月21日土曜日

スワロウテイルの消失点

川瀬七緒。
法医昆虫学捜査官シリーズ第七弾。
高井戸警察署管内の自宅二階で腐乱死体として発見された72歳の男性。
その司法解剖に立ち会った赤堀准教授と岩楯刑事たちは、その最中に正体不明の何かに感染したような発疹や出血症状を発症する。
直ちに隔離された彼らには病原菌などによる感染は確認されず、その原因は「小黒蚊」と呼ばれる日本にはいないはずの小さな吸血虫による虫さされだったと判明する。
殺害現場には犯人のものと思しき様々な慰留物が見つかったが、被疑者の一人とされた空き巣犯には殺人をした様子がなく、真犯人にはなかなか辿り着けない。
そして岩楯の苦手なクモが導いた偶然の出会いにより負傷してしまう赤堀。
脇役級の登場人物にも深いディテールがあって小説として厚みが出てきた。
このシリーズは主役たちに重大な怪我を負わせるのが常態化してるのではないかと思わせるのは気のせいか。
赤堀と岩楯の中年カップルが誕生しないかねぇ。
(^-^)







2018年12月5日水曜日

紅のアンデッド

川瀬七緒。
法医昆虫学捜査官シリーズ第六弾。
西荻窪署管内の住宅街、マリーゴールドのオレンジ色が毒々しい通り沿いにある古い平屋の民家で発生した事件。
殺人なのか傷害なのか強盗なのか、それすら分からない凄惨な現場を確認する岩楯と相棒の鰐川。
現場には部屋中に飛び散ったおびただしい血痕と三人分の切断された小指が残されていたが、被害者の行方も分からないまま時間ばかりが過ぎていた。
被害者と考えられる老夫婦と身元不明の小指の状態に違和感を感じた法医昆虫学者の赤堀涼子はその原因究明に心血を注ぐ。
その赤堀は大学と掛け持ちで科学捜査研究所から分離新設された捜査分析支援センターに身を置く地方公務員となったのだが、法医昆虫学は未だ現場の捜査員から毛嫌いされている。
赤堀の同僚となったプロファイラーの広澤と鑑定技術開発にその半世を捧げた波多野もまた、正当な評価をされないまま支援センターに押し込められた格好でこの難事件に臨む。
涼子の隠された過去を知ってしまう岩楯や新たな人物の登場に、今後の展開を大いに期待。
(^-^*)






2016年12月21日水曜日

潮騒のアニマ 法医昆虫学捜査官

川瀬七緒。

シリーズ第四弾にて最新作。

小さな離島でミイラ化した若い女性の遺体が発見された。
解剖医は首吊り自殺で死後3ヶ月以上との見解を示したが、法医昆虫学者の赤堀は、遺体に昆虫相が無いことに目を留めた。

警視庁の岩楯との掛け合いも定着し安定のシリーズ化。
(^-^)

2016年2月20日土曜日

メビウスの守護者

川瀬七緒。

東京都西多摩地区の山中で発見されたバラバラ死体の一部。

解剖医が遺体の状況を解剖学的に見て導き出した死亡推定と、法医学昆虫学者である涼子が虫たちの状況から推定するそれには大きな開きがあった。

未だ捜査本部では相手にされない涼子を庇うように行動を共にする岩楯は、過去の捜査経験から法医昆虫学者の力に全幅の信頼を置くのだが、なかなか発見されない残りの部位の捜索に疲労が募る。

発見現場付近の山村住民たちの周辺捜査の中から浮かび上がる不審な人物たちとその行動に注目した岩楯たちは、捜査本部の方針に抗いながら、事件の真相に近づいていく。

この事件の答えを導き出した涼子に伸びる犯人の魔の手。岩楯は無事に涼子を取り戻せるのか。

シリーズ最新の書き下ろし作品。
岩楯と涼子の関係にはますます注視したいね。
(^^)

2014年12月23日火曜日

水底の棘

川瀬七緒。

法医昆虫学捜査官第三弾。

江戸川区荒川の中洲で発見された水死体。

偶然発見者となった赤堀准教授は、死体の損傷具合に違和感を覚える。

難航する捜査に行き詰まる岩盾と相棒の鰐川刑事は、本部の捜査方針に疑問を抱きながら、死体に残されたタトゥーを追うのだが。

果たして陸上昆虫の枠を飛び出した赤堀の捜査はどこへ向かうのか。

今回の伏線はストーリー的にも素晴らしい。

久しぶりの読書だったが、大当たり。
(^-^)

2014年9月20日土曜日

桃ノ木坂互助会

川瀬七緒。

横浜ふ頭にほど近い桃ノ木坂町。

ここ十数年で開発され姿を変えた街並みと、やっかいごとを持ち込むよそ者たちを排除したいと立ち上がる老人たち。

互助会という老人会を隠れ蓑にして、10人の特務隊員を率いる元海上自衛隊海曹長の熊谷光太郎は、やっかいごとの芽を摘み、町の平和を裏で守る司令塔として余生を過ごしていた。

次のターゲットとなった若者、武藤への砲撃を始めた彼らだったが、武藤の反撃により特務隊員ではない老婆が瀕死の重傷を負わされる。

特務を遂行する光太郎たちは、武藤への対応をエスカレートさせていくのだが、彼が他の誰かにも狙われていることに気付く。

結末はなかなかのどんでん返しもあり、作り込みはまずまず。
(^^)

2014年8月7日木曜日

よろずのことに気をつけよ

川瀬七緒。

第57回江戸川乱歩賞受賞作品。

人を呪い殺す目的で作られた本物の呪術符を持って現れた少女。

彼女の話しに協力を決意した文化人類学者の仲澤は、少女とともにこの特殊な呪いの真相を探る。

題材やストーリー、登場人物の設定はなかなかのもの。

呪術なんかはフィクションなのかもしれないが、これだけ仕立てがよければ読み物としてはオッケー。

なかなか読む暇がなくて、図書館で延長してもらいようやく読了。
(^-^)

2014年5月26日月曜日

シンクロニシティ

川瀬七緒。

法医昆虫学捜査官第二弾。

江戸川区東葛西、東西線の高架下に設置されたコンテナ型トランクルームから発見された腐乱死体。

現着した月縞巡査は、竜巻並みのハエが飛び交う中、現場保存の為に密室に籠もる。

彼の行動の真意を汲み取った岩楯は、月縞との捜査を願い出る。

異色の捜査官赤堀が掴んだ昆虫の特徴は、捜査を新たな局面に導く。

東北の過疎の村に残る悲しい幽霊伝説。
氷雪花に魅せられた人形師や月縞の成長ストーリーも無理なく織り込まれている。

欲を言えば、昆虫学者の活躍をもっと見てみたいかな。
(^-^)

2014年5月22日木曜日

147ヘルツの警鐘 法医昆虫学捜査官

川瀬七緒。

頻発する放火でついに被害者が発生。

焼死体で発見された女性は胸郭上口消化器官がそっくり無くなっており、残された腸のなかからは特異なウジが発見された。

捜査会議の席で、日本ではまだ認知されていない法医昆虫学者による試験的な捜査が実施されることを知らされた岩楯。

昆虫学者と同行せよとの命令を受けた岩楯は、幼さの残る小柄でコケティッシュな赤堀涼子准教授と捜査にあたる。

昆虫の行動や状態から捜査の糸口を探る赤堀は、特異なウジがコカインに汚染されている事実を見つけ出す。

殺人者の異常性を知らない赤堀は、単独捜査の末に窮地に立たされる。

なかなか珍しい昆虫学という切り口と登場人物たちの個性が光るストーリー。
伏線の張り具合も好ましい。

川瀬初読だがヒット。(^-^)

図書館で続編も一緒に借りてきたので、次も期待。

ただ、今とても多忙でなかなか読めないのはツラいところ。