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2025年2月15日土曜日

繋がれた明日

真保裕一。

6年前、まだ未成年だった隆太は、自分の彼女にちょっかいを出すチンピラを刺し殺してしまうが、情状酌量の末刑期を僅かに残し仮釈放となる。

大室という保護司の力を借りて仕事に就いた隆太だったが、彼は人殺しなのだということを記した中傷のビラをばら撒かれ、家族にもその被害が及ぶ。

社会に出ることができた犯罪者に対する世間の因習もさることながら、人は平気で嘘をつくということに苦しむ隆太。

この重くて複雑なテーマを描ききる真保の巧みな筆さばきに一気読み。
(^^)

2022年10月11日火曜日

アンダルシア 外交官 黒田康作

真保裕一。

シリーズ第三弾。

バルセロナで行われるスペインとフランス間の麻薬取締の協調関係に関する会議に出席すべく、現地へ向かった黒田。

フランスが振るう大国の権威に辟易する会議の合間、ICPOの海外捜査支援局統括官の来訪を受けた黒田は、狐と狸の化かし合いともいえる外交の現実を突きつけられる。

その夜、スペインとフランスに挟まれたピレネー山脈の中にある小国アンドラにいる邦人からSOSの電話が入る。

邦人保護のため、夜中に車を走らせアンドラへ向かった黒田は、黒いコートに身を包んだ一人の女性をバルセロナへ連れ帰った。

スペイン、フランス、アンドラの国家警察がそれぞれの思惑を持って乗り出して来る中、女性の嘘が次々と暴かれる。

黒田はこの事態をどう切り抜けるのか。

映画は観ていないが、本作はノベライズとは異なるストーリーになっているとのこと。

結末まで気が抜けない。
(^^)

2022年7月27日水曜日

アマルフィ

真保裕一。

外交官として邦人保護を任務とする黒田康作。

彼は外務省の片岡事務次官からの特命を受けギリシャからイタリアへ飛んだ。

日本の役人そのものの外交官補、安達香苗をはじめ、大使の菊原、参事官の西野に辟易しながら、黒田はその手腕を発揮し外務大臣の外遊に併せた共同開発の調印式の警備を強化していた。

その矢先、ホテル・パルテノンで母親と二人で旅行に来ていた9歳の女の子が行方不明になったとのSOSが入り、ホテルに向かった黒田と安達は女の子を誘拐したという電話に遭遇するのだった。

事件から手を引きたい大使館と対立する黒田が取った行動は。

織田裕二主演で映画化された原作ということだが、映画版は違う点がいくつもあるのだそうな。

真保らしいストーリー展開。
(^-^)

2022年1月17日月曜日

シークレット・エクスプレス

真保裕一。

昨年8月に発行された新刊のため帯から引用。

JR貨物に緊急輸送の依頼が入る。
自衛隊の特殊燃料を青森から佐賀まで運ぶのだ。
計画は無事にスタートするが、ルート上で架線事故が発生。
しかも、積み荷は液体の燃料とは思えない挙動を見せる。
次々と予想もしない危機が続き、ついに政府と警察からは列車を止めるなとの厳命が下される。
JR貨物は最大のピンチを乗り切ることができるのか。

元運転士だった営業マンという普通の人物が主人公として登場するあたりが、真保作品の見所でもある。

現代社会の暗部を描く社会派ミステリー。
(^^)

2022年1月6日木曜日

こちら横浜市港湾局みなと振興課です

真保裕一。

市役所本庁舎から隔離された場所にある横浜市港湾局。

港で起こるあらゆる雑事が回されてくる「みなと振興課」に勤務する船津暁帆に国立大卒のエリート新人の部下ができた。

期待の新人・城戸坂泰成のそつのなさを訝りながらも、トラブルを解決していく暁帆たち。

ニュースキャスターから転身した神村佐智子市長の謎の行動と符合するような城戸坂の振る舞いに疑問を抱いた暁帆だったが、次第に大きな問題に巻き込まれていく。

公務員を主人公にしたお仕事ミステリー。

著者の得意分野ではあるが、軽やかなタッチは新しい。
(^-^)

2020年12月25日金曜日

ダーク・ブルー

真保裕一。

帯から引用。

海洋調査を専門とする日本海洋科学機関-JAOTECのパイロット・夏海ら潜行チームは、天才科学者・奈良橋教授の開発チームとともに、潜水調査船「りゅうじん6500」に搭載された新型マニピュレーターの実証実験のため、フィリピン沖に向かう。

だが、突如武装集団の襲撃に遭い、母船が占拠、船員を人質にとられてしまう!

彼らの目的は、深海の沈没船に隠された、世界を変えうる力を持つ「宝」のサルベージだった。
仲間の命を救うため、夏海は調査船に乗り込み、銃を突きつけるシージャック犯とともに、暗く蒼い海の底へと生死をかけたダイブに臨む-。

久し振りに真保の大エンターテイメントにヒット。
(^-^)

2018年8月29日水曜日

暗闇のアリア

真保裕一。

経済産業省通商政策局調査課に勤務する課長の富川光範が神奈川県の山中で遺体で発見される。

振込者不明のたった50万円の入金が発覚したことにより、光範の死は収賄罪を問われることを苦にした末の自殺と断定された。

光範の自殺を信じられない妻でジャーナリストの真佐子は、つてをたどり警視庁に籍を置く井岡に夫の死の不審な点を訴えるが…

妻に自殺された過去を持つ井岡は、この話に乗り気ではなかったが、刑事だった性から事件を洗いはじめる。

富川から繋がる関係者たちが次々と自殺をしていることが判明し、事件は意外な方向へ転がり出す。

なかなか難しいストーリーだが、真保らしい硬質な筆使いはmarble的にはオッケー。
(^^)

2017年3月4日土曜日

赤毛のアンナ

真保裕一。

児童養護施設で育った安那が傷害事件を起こして逮捕された。

安那を知る友人たちは、有り得ない事だと憤りながらも、しばらく彼女と疎遠になっていた事実に唇を噛む。

高校からの親友だった理世、施設で一緒に育ったこずえ、常に周りを気にかけて明るく振る舞う安那を取り巻く人たちが、彼女を救い出すために安那の過去を辿る。

赤毛のアンことアン・シャーリーになりたかった安那。
アンの腹心の友、ダイアナ・バーリーになりたかった親友たち。

罪を犯した親友のために何ができるのか。

いくつもの伏線がこのテーマに絡み、奥行きを出している。
(^-^)

2017年2月3日金曜日

脇坂副署長の長い一日

真保裕一。

真保らしからぬ装画に目を引かれ購入。

帯から引用にて御免。

一寸先に謎、また謎。めくるめく事件の迷宮!

それは地元出身のアイドルが一日署長を務めるというイベント当日。
副署長の脇坂に思いも寄らぬ報告が上がった。

病欠していた若い巡査部長が、事故現場かは逃走した?
たたでさえマスコミの注目が集まる一日。あってはならぬ身内の不祥事か、それとも?

収拾を一任された脇坂だが、捜査を進めるうち、誰も予想し得ない事態に次々と直面する。
分刻みで休む間もなく事件を追う脇坂は、複雑極まりない事の真相に辿り着けるのか?

緻密にして奇想溢れる、唯一無二の真保裕一ワールド!!
読み始めると眠れない、傑作エンターテイメント!!
(^-^)

2016年8月16日火曜日

遊園地に行こう!

真保裕一。

「行こう!」シリーズ最新作。

古きよき時代の遊園地ファンタシアパーク。
時代の流れで一度は閉園の危機を迎えたこの夢の国は、一人の辣腕家により奇跡の復活を遂げる。

パークを支えるスタッフの大半はアルバイトなのだが勤めるスタッフたちの士気と誇りは高く、アルバイトの募集には大勢の信者が詰めかける。

ある思いを持ちパークで働き出した亮輔は、ファンタシアの魔女と呼ばれるベテランパルの指導を受けながら、早くも新人王と噂されインフォメーションカウンターの顔になる。

パークで起こる日常のこもごもや不穏な放火騒ぎ。

亮輔はファンタシアの魔女やパークを愛するスタッフたちと共に今日もマシュマロスマイルでパッセンジャーを出迎える。

3作目も痛快。
(^^*)

2016年1月26日火曜日

レオナルドの扉

新保裕一。

過去にマンガの原作者としてアニメーションに携わっていた作者が思いついていたストーリーを30年振りに小説に書き下ろしたもの。

レオナルド・ダ・ヴィンチが残したノートには、その天才の研究の成果が数多く綴られているという。

今なお見つからない最後のノートには、軍事目的に利用されては困るほどの秘密が記されており、レオナルドの末裔たちは代々その存在を守ってきた。

1529年、このノートを躍起になって探すフランス軍を率いるナポレオンと謎の女たちが現れ、イタリアの片田舎の村で暮らしていたジャンは、行方不明になっている父の使命を悟るのだった。

マンガの原作として考えられていたことから、中盤以降の冒険活劇はとても面白い。

盛り込める限りの史実を加えることで微妙なリアリティが生まれ、厚みを増しているところが新保らしい。
(^-^)

2015年5月2日土曜日

ダブル・フォールト

真保裕一。

テニスでは二度目のサーブが許されている。
最初は渾身の力を込めたサーブにチャレンジするがたとえ外してもやり直しが利き、試合を続けられる可能性がある。

町工場の味方と言われ、弱き立場の弁護を引き受けることで有名な高階弁護士事務所にイソ弁として勤務する新米弁護士の本條務。

経験の浅い務にボスの高階から与えられたある殺人事件の被疑者の弁護。

被害者は町金の社長、被疑者はその金融業者から何度も融資を受けていた町工場の経営者であり、自ら自首しており反省の言葉もあるという。

弁護士事務所の専門分野がはっきりと分かれる昨今、専門技術を求められる殺人事件は先輩弁護士も手がけた者が少ないにも係わらず、務に弁護を任せる高階。

公平な裁判のために、被害者であるにも係わらず父親の過去の行動を明かされることに憤る被害者の娘、香菜。
その矛先は必然と務に向けられる。

また、被疑者の言葉を信じきれず選任弁護士を外された務に近づく香菜。

事件の裏に隠された何かを感じた務がとった行動により裁判は思わぬ展開を見せる。

真保らしい固めの文章。ストーリーもグッド。
(^^)

2015年3月28日土曜日

アンダーカバー 秘密調査

新保裕一。

その活躍を知られることのない、陽が当たることのない任務に命をかける男たち。


貧しい母子家庭で育った智貴は東大に進み会社を興す。そして弱冠28歳のカリスマ経営者となった。
謂われのない罪を着せられ、フィリピンの刑務所でつらい日々を過ごした彼は、自分を追いやった者たちを自ら探し出そうとする。

一方、天涯孤独の秘密捜査官であるジャッド・ウォーカーは、イギリスのFBIとうたわれるSOCAからユーロポールへの派遣を言い渡され、血生臭い麻薬絡みの事件捜査に臨む。

そして、智貴を追うフリージャーナリストの美香子もまた、複雑に絡み合う事件に巻き込まれていく。

硬めのストーリーと文体が新保らしい。
(^^)

2014年3月29日土曜日

正義をふりかざす君へ

新保裕一。

故郷を離れた男が、別れた妻の依頼を受けて長野に戻る。

地方の市長選を陰で操るのは、不正を行う企業を吊し上げることで名を馳せるローカル新聞社の社長。

故郷を離れなければならなくなった男が慕っていた新聞社社長は、ヤクザ者を使い男を襲わせる。

完全なアウェイからの奇跡の逆転劇。

但し、事の発端が分かった時点で後味は微妙。
まぁ、悪くはないストーリーなんだが。
(^-^;)

2014年3月11日火曜日

ローカル線で行こう!

真保裕一。

廃線間近のローカル線。

東北新幹線のアテンダント、ナンバーワンの名を欲しいままにした亜佐美が赤字まみれのローカル線の社長を引き受ける。

同じく、県庁から第三セクターの鉄道会社出向を命じられた鵜澤は、本庁に返り咲くための手はずを整えながら、赤字路線再建のために身を粉にする。

地域の熱意に支えられながら、赤字解消のためにその身を削る亜佐美と鵜澤。

いつしか、その思いは全職員の心に響くのだが、何者かによる妨害工作に鉄路存続の危機を迎えることに。

水面下で動く利権欲しさの役人や、復讐に燃える青年を伏線に添えて、ほのぼのした雰囲気に紛れた傑作が世に放たれた。

真保、こんな路線もありか!?と思わせるこの物語は、ベタだけど面白い。
(^-^)

2012年7月21日土曜日

真夜中の神話

新保裕一。

薬学部の助教授として研究に没頭していた晃子は、交通事故で夫と愛娘を亡くし、その反動かこれまでの連鎖反応促進酵素の研究から足を洗い、アニマル・セラピーとしてのイルカの介在療法にのめり込む。

イルカ研究の第一人者に会うため、単身インドネシアのタンココ自然保護区を目指すが、搭乗していた飛行機が爆弾テロにより墜落してしまう。

独り生き残った晃子は密林の奥地で静かに暮らす現地人に救われ奇跡的な快復をみせる。

奇跡の技を持つ少女は神か悪魔か…

2011年7月30日土曜日

天使の報酬

真保裕一。
ドラマ化された「外交官・黒田康作」の原作らしいのだが、ドラマは観ていない。
捜査権を持たない外交官が、外務省、警察庁の利益争いに巻き込まれながら、刑事にも負けない活躍を見せる。
サンフランシスコ総領事館で環太平洋農水相会議の対応に追われる邦人保護担当領事の黒田のもとに一本の捜査協力依頼が舞い込む。
行方不明の元官僚の娘にテロの疑いがかかり、行方を捜す黒田は過去の事件の真相にたどり着く。
緻密な伏線の張り加減がいいねぇ。
( ̄∀ ̄)

2011年1月30日日曜日

デパートへ行こう!

真保裕一。
東京駅近くの老舗デパートが100周年を迎える。
閉店後のそのデパートに集う老若男女。
バラバラだった点が線へと繋がりはじめる。
何となくホロリとさせる温かい感じは悪くない。
「ザ・マジックアワー」みたいなイメージを受けた。
暗闇ばかりで映像化は難しいかもしれないが、ストーリーは映画向きかも。
( ̄▽ ̄)

2011年1月7日金曜日

ブルー・ゴールド

真保裕一。
金を産み出す水。
ペルーで行なわれた水道事業の民営化を巡る総合商社の戦いが生んだ悲劇。
犠牲者はいつも罪のない貧しい者たち。
過去の失敗を悔やむ企業戦士たちは、その想いを胸に、不穏な企みに立ち向かう。
長野県駒ヶ根市が舞台となる。もちろんフィクションなのだが、知ってる場所は親近感がわくよね〜。

2010年11月29日月曜日

防壁

真保裕一。
表題作、防壁。警視庁警護課、いわゆるSP。
相棒。海上保安庁特殊救難隊。
昔日。陸上自衛隊不発弾処理隊。
余炎。東京消防庁消防隊。
中短編4作品。
死と背中合わせの特殊な職場で働く男達を主人公に据え、人間模様を描き出す。
真保らしく硬質で上質。