2012年2月28日火曜日

水底フェスタ

辻村深月。
「2012このミステリーがすごい!」で13位にランクイン。
閉鎖的な村に脈々と受け継がれる、ことなかれ主義。平穏な村の大人が見せる残酷な一面に少年が決意したものは…
村の存続をかけた野外ロックフェスタは大成功のうちに10年目を迎えた。
フェスの晩、村長の息子は、中学卒業と同時に村を出て女優になった由貴美に出会い、歳上の女性に惹かれていく。
村への復讐のために戻ってきたという彼女に夢中になった少年は、村に隠された裏の実態を突き止める。
誰もが犠牲者になりうる閉鎖共同体を舞台に多感期の少年・少女を描き出す。
繊細なタッチが好印象。(^-^)

2012年2月26日日曜日

脱出山脈

トマス・W・ヤング。
2011年ミステリー&エンターテイメントベストテン海外編にノミネートされた。
惜しくも21位以下ではあったが、注目作品として紹介されている。
百年に一度の猛烈なブリザードに見舞われるヒンズークシ山脈に不時着したC−130輸送機。
捕虜にしたタリバンの聖職者を連れて、過酷な山脈から脱出を命ぜられた航空士の少佐は、通訳の女性軍曹とともに夜の闇の中へ歩き出す。
たった一発のミサイルが非日常の恐怖に変わり、鍛え上げられたアメリカ軍人たちが死闘を繰り広げる。
著者のミリタリー&サバイバルフィクションデビュー作。
従軍経験を生かしたクオリティはハイレベル。
( ̄▽ ̄)

2012年2月24日金曜日

秘密の窓、秘密の庭

スティーヴン・キング。
妻と離婚し、独り湖畔の別宅に暮らす小説家。
彼のもとに突然の訪問者が現れ、過去に書いた小説が盗作だと言い放つ。
身に覚えのない疑惑を晴らすため、当時の出版物を探すのだが、次から次へと災難が襲う。
愛する妻の情事を目の当たりにした時から、小説家の創造力は人知を超えてしまったのだろうか…
現実と創造が入り交じる恐怖。
あえて、鉄板のテーマを題材にした中編小説。

2012年2月22日水曜日

ランゴリアーズ

スティーヴン・キング。
ロスアンゼルス発ボストン行きの767夜間飛行便。
離陸後間もなく、数名の乗客を残しほとんどの乗客が忽然と姿を消してしまう。
彼らの腕時計や歯の詰め物、ペースメーカーなどを残して…
偶然乗り合わせたパイロットのブライアンは、消えてしまった乗務員に代わり、バンゴア国際空港に緊急着陸を試みる。
そこは全てが色褪せた世界だった。
そしてランゴリアーズと呼ばれる怪物たちが世界を貪り喰う音が近づいてくる…
モダン・ホラーの巨匠が描く恐怖。
まぁ、外れはありませんな。(^^;

2012年2月7日火曜日

エナメルの証言

海堂尊。
デジタル・ハウンド・ドッグの異名を持つ加納警視正が玉村警部補を引き連れ、謎の歯医者の裏の仕事を探る。
「このミステリーがすごい!」に掲載された海堂の特別書き下ろし短編。

2012年2月5日日曜日

警官の条件

佐々木譲。
警察官三代の人生を描いた「警官の血」。
この作品に登場した安城和也が再び登場。
組織暴力を相手に情報収集を行い、時には銃器、薬物も扱う。
高価な身なりで高級外車を転がす孤高の警部。彼は部下に売られ一旦は警察官を辞したのだが、時代は彼を必要としていた。
佐々木の警察小説、読み応え十分。
( ̄▽ ̄)

2012年2月2日木曜日

神の島

米山公啓。
外科医として素晴らしい腕を持ちながら国立医療査察機関で極秘に働く医師。
彼の次なる潜入捜査先は、南の孤島で老人医療を手掛ける個人病院だった。
一見穏やかな雰囲気の入院患者たちに秘められた何かを感じ取った医師は、そこで行われている神の医療にたどり着く。
フィクションぽさがちらほらで残念な感あり。
(^^;