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2024年3月20日水曜日

KID

相場英雄。

元自衛隊員の城戸護。
国の安全保障という建前の元、2名の部下を戦死させた過去を持ち、その後は香港で古いフィルムカメラを扱う商売をして暮らしていたのだが、元上司だったアレックスの紹介で上海の商社マンである王のボディガードを引き受け日本へ向かうことになる。

福岡から日本へ入国した王達につきまとう警察組織とジャーナリスト。

城戸は彼らと対峙しながら王の警護をつづけるのだが、王は秘書から射殺されてしまい、一転追われる身となった城戸は、あらゆる手だてを使い真相を探る。

現代の警察捜査を担う情報戦に立ち向かう城戸に賞賛はあるのか。

城戸が狙われる理由が明らかになるとき、日本という国の危うさが浮き彫りになる。

相場のフィクションとは思えないストーリー進行に一気読み必至。
(^^)



2021年3月21日日曜日

血の轍

相場英雄。

箱根山の陸軍戸山学校址にある野外音楽堂で発見された扼殺死体は元警察官であることが判明。

その捜査を進める兎沢たちに公安部の邪魔が入るが、兎沢が見咎めたその姿はかつて捜査のイロハを教えてくれた先輩刑事の志水だった。

OB殺しの事件解決を急ぐ刑事部と隠蔽を謀る公安部との熾烈な戦い。

決して交わることのない二つの轍を描き出す異色の警察小説。

ある意味ハードさが際立つ。
(^^)

2018年11月7日水曜日

クランクイン

相場英雄。
映画好きなサラリーマン根本崇が勤務する京楽エージェンシーは準大手規模の広告代理店である。
突然社長に呼び出された根本は、大ベストセラー「永久の大地」を映画化するための制作委員会の窓口担当を命じられる。
配給会社である帝映のプロデューサー岩城節子と共に準備に走り回る根本は、映画制作という魔物の恐ろしさを肌で感じながらも窮地を乗り越えていく。
本編のストーリーだけでも十分面白いと思ったのだが、最後にサプライズとは。
これってどこかに伏線あったかな?
相場、やるじゃん。
(^-^)



2016年4月27日水曜日

リバース

相場英雄。

詐欺や横領事件を捜査する警視庁捜査第二課第三知能犯係、通称三知。

かつて三知のメンバーだった西澤は、三知が犯したミスの見せしめとして目白署刑事課に異動させられたのだが、三知の失地回復のため知能犯の検挙に力を入れる。

福島県の原発事故で疲弊した東北で繰り返される被災地支援詐欺を端緒に、大きな贈収賄事件の鍵を見つけた真藤は、病に犯されながらも、旧三知のメンバーを集め最期の事件に取り掛かる。

福島県南相馬市や飯舘村の描写があるのだが、以前復興支援で行った場所でもあり、その時のことが思い出される。

シリーズ第3弾も西澤が主役級ではあるが真藤をはじめ小堀や清野、大岩が脇を固め、一恵も華を添えるなど役者は揃い踏み。

刑事モノというだけではない、相場の筆力に脱帽。
(^-^)

2015年6月14日日曜日

トラップ

相場英雄。

詐欺、横領事件の捜査を行う警視庁捜査二課、通称ナンバーと呼ばれる知能犯捜査係の刑事たち。

第三知能犯捜査係の西澤は、訳ありの若手キャリアの小堀を従え、贈収賄事件の端緒を掴みにかかる。

「水も漏らすな」が口癖の筆頭警部の真藤が病に倒れ、今回の事件に複雑な思いを持ちつつ臨む三知のメンバーたち。

検察内部の不穏な動きが西澤たちに迫る。

相場の「ナンバー」に次ぐ第二弾。
(^^)

2014年2月18日火曜日

鋼の綻び

相場英雄。

序盤には出てこないのでネタばれ注意。

新宿歌舞伎町の韓国クラブで起きた暴力団幹部刺殺事件。

時を同じくして、政財界のVIPが通うゴールデン街のバーのママが首を吊る事件が起こる。

経済ヤクザがからみ、もつれる捜査。

一国の首相のたった一言をもぎ取りたい犯人の思いは、忘れられない記憶を手繰る。

日本国民の生活を守るという政府の軽々しい判断に翻弄された人々を、心から救いだそうとする影の存在。

故郷に帰りたいという思いを打ち砕く日本のトップのくだらない見栄と浅はかな思考能力。

ここら辺を炙り出させる相場の筆力はホンモノ。
(^-^)

2014年2月1日土曜日

共震

相場英雄。

嘘をはるかに凌駕した圧倒的な現実。

ミステリー作家が放つ、震災後の被災地の現実をつぶさに描写した意欲作。

著者自らが東北沿岸一帯で見聞きした経験をふんだんに活かしたリアリティがすごい。

ある仮設住宅で県庁震災復興企画部の特命課長が毒殺死体で発見される。

県警は、同僚で総務省から出向しているキャリアを重要参考人として事情聴取するのだが、曖昧な供述しか得られない。

警視庁刑事部捜査二課管理官兼広域知能犯撲滅本部担当官である田名部と、旧知の仲である大和新聞東北総局遊軍記者の宮沢は、それぞれのスタンスで事件の真相を追う。

そこには、東北復興に紛れて蠢く悪意があった。

フィクションであることを忘れさせる数々の場面がこの作品の持ち味。
( ̄∇ ̄)

2013年10月5日土曜日

血の轍

相場英雄。

今年の頭に出版された書き下ろし小説。

警視庁刑事部捜査一課長の海藤、戸塚署時代に彼の部下であった兎沢は第四強行班七係に在職。そして、志水は公安部公安総務課に身を潜めていた。

兎沢と志水が、各々の道を歩まなくてはならなかった組織の思惑。
それは、海藤にも影を落とすものになる。

地道な捜査により事件を解決する刑事部と、国家を守るという使命に燃える公安部の血で血を洗う争い。

信じる正義が時と場合で変わってしまう非日常の世界に身を置く彼らに救いの時はやってくるのか。

決して交わらない轍が寄り添う時…

警察小説の二大テーマをこれでもかと盛り込んだ意欲作。
( ̄▽ ̄)b

2013年9月25日水曜日

ナンバー

相場英雄。

警視庁刑事部捜査二課第三知能犯捜査企業二係。
企業における横領や詐欺事件の捜査を主な仕事とする西澤警部補。通称、西。

高校球児として捕手を務め、負ける悔しさを知っている西を、所轄の四ツ谷署から引き抜いた理由…

知能犯ナンバー同士の競い合いに心を痛めながらも、先輩老刑事の期待に答えようと足掻く日々。

一人前の知能犯担当刑事になるための試練が西を襲う。

こういう朴訥さが、女は気になるのかねぇ…

「震える牛」で、一気にメジャーになった感があるが、短編作の西シリーズもイケる。

もう一冊、相場作品を借りてあるので、通勤バスのお伴にしよう。
(^^)

2012年4月24日火曜日

震える牛

相場英雄。
捜査一課継続捜査班。
迷宮入り寸前の目立たない未解決事件を扱う規則正しい部署。
上司からある強盗殺人事件の再捜査を命じられた田川は、ずさんな初動捜査とキャリア指揮官の間抜けな筋読みを恨みながら、事件の真相を手繰り寄せる。
巨大ショッピングセンターに取って替わられた地方都市の商店街。そして安価な食材を生み出す禁断の技術。
「幾度となく、経済的な事由が、国民の健康上の事由に優先された。秘密主義が、情報公開の必要性に優先された。そして政府の役人は、道徳上や倫理上の意味合いではなく、財政上の、あるいは官僚的、政治的な意味合いを最重要視して行動していたようだ」
この一節に象徴される日本の未来は何処へ向かうのか?
いや、なかなか面白かった。
( ̄▽ ̄)