2015年2月25日水曜日

検事の死命

柚木裕子。

「検事の本懐」に続く佐方貞人の検事時代を描くシリーズ作。

 亡き父の謎が解き明かされる前作の完結編が収録され、佐方自身も転機を迎える。

 佐方の弁護士転向後の活躍を描く「最後の証人」も含めて、佐方シリーズはオススメ。
(^-^)

2015年2月22日日曜日

検事の本懐

柚月裕子。

ボサボサの髪に皺だらけのスーツ、ネクタイもよれた身なりに秋霜烈日のバッジを付けた男。

米崎地検に籍を置く佐方貞人は、その風貌からは想像できないが、人として真摯に事件の真実を追い求める若き検事である。

佐方という男を描き出すために必要にして十分な5話の連作。

事件の事実ではなく真相を描きたかったという著者の本懐も遂げられている。
(^-^)

2015年2月18日水曜日

ケモノの城

誉田哲也。

う〜ん、良くできてるとは思うし、アリはアリなのだが、何せテーマがなぁ…

いわゆるサイコパス的な人物による監禁、虐待、拷問、殺害は伝播してしまうのか。

捜査陣営を振り回す容疑者たちの驚愕の供述。

もやっとした部分があるので読み返してみれば、違う側面もありそうなんだが、心折れたから止めよ。
(^-^;)

2015年2月14日土曜日

極卵

仙川環。

江戸時代に相模地方で飼われていた地鶏が現代に蘇り、平飼いされたそれの卵は、安全、安心の名の下、一つ250円という高額で売り出された。

卵を食べた人たちのボツリヌス症に似た中毒が発覚し、事態は急展開を迎える。

奇跡の卵を出荷する養鶏場の青年と無農薬有機栽培食品を扱う食料品店の売り子の麻衣。

卵中毒で重体の息子の母であり、吉祥寺のカリスママダムと呼ばれる、食の安全を追求することに傾注する専業主婦の純子。

事件の真相を追いかける桐子が見た偽善的な消費者団体や企業。
マスコミもまた同じ一面を持つのかもしれないという思い。

仙川の医療モノと底辺は通ずる感あり。
(^-^)

2015年2月12日木曜日

ユダの柩

福田和代。

これまでの作風からガラッと変わっているため、これを読んで福田作品だと気がつく人がどれだけいるのか…

沖縄で生まれ今は警視庁公安部外事三課に籍を置く友利。
目下の監視対象はアフリカ、サブサハラ地域の小国からの入国者たち。

この小国からの来日者は年間にわずか20人ほどしかいないにもかかわらず、3人が立て続けに不審な死を迎える。

日本から遠く離れたこの小国に発電造水プラント建設を進める日本商社の営業マンである唐木。
彼がプラント建設に強い意欲を持つ理由と、小国の若き産業省大臣ムナの心に秘めた思い。

政変の不安定なこの国で「この国にはユダがいる」と警告してきたムナの言葉に揺れる唐木。

これ以上はネタバレのため割愛。

まぁ、こんな感じも書けてしまう福田の懐の深さに感心。
(^^)

2015年2月8日日曜日

夢幻花

東野圭吾。

久し振りに図書館を物色。

鮮やかなアサガオの表紙が目に留まり迷わずチョイス。

いまは現存しないといわれる黄色い花を咲かせるアサガオ。
江戸時代には普通に見られたそれが何故姿を消したのか。

原子力研究に携わる大学院生の蒼太には、忘れられない過去の思い出と家族との確執があった。

独居老人が殺されるという事件の遺族である梨乃もまた、オリンピックを約束されながら水泳界を去った辛い過去を持つ。

そんな二人が出会った事で、夢幻花と呼ばれる不思議なアサガオと殺人事件との接点が明らかになっていく。

東野ミステリーの名に恥じない素晴らしい展開。
やっぱりいいね。( ̄∇ ̄)

2015年2月6日金曜日

明日の子供たち

有川浩。

90人の子供たちが住んでいる児童養護施設「あしたの家」。

ソフトウェア会社の営業マンから転職してきた新米職員の三田村慎平。

様々な事情を持つ子供たちや先輩職員に囲まれ、少しずつではあるが児童養護が置かれている社会的な状況を理解する。

施設にいる子供は可哀想だという世間の先入観に憤るのは、当事者にとっては幸せな生活を送ることができる唯一の場所であるという真実。

SFの有川とは少し違った本作。
すごく読みやすいが、涙を誘ういい話しでもあった。
( ̄∇ ̄)

2015年2月1日日曜日

化学探偵Mr.キュリー

喜多喜久。

著者お得意のケミストリーかつ大学モノに少々のラブコメ。

大学庶務課に勤務する七瀬舞衣は、着任早々、学生のモラル向上対策という仕事を任される。

理学部化学科先進化学研究室のミスターこと沖野春彦准教授とともに、モラル向上委員の仕事とは名ばかりの、学内の難事件解決に飛び回る舞衣。

ミスターと舞衣の微妙な距離感がどうなるのか気になるところ。果たして続編は出てくるのかな?
(^-^)