柚月裕子。
アントガーデン。
蟻と植物の共依存によって成り立つ事象で、蟻は樹木の上に巣を作り、その巣には数種類の着生植物が生える。
蟻はこの植物の果実を食料に、植物は蟻の廃棄物を栄養源にしており、どちらが欠けても生きてはいけない。
ニュース週刊誌のフリーライターとして働くバツイチの由美。
独身を貫く編集長の康子とは二十年来の友人でもあった。
次の企画を探す由美は、結婚詐欺の容疑者で複数の男性の殺害に関与したとして取り調べを受けている誰もが認める魅力的な女性、円藤冬香に興味を抱く。
何の情報も持たなかった由美は知人から紹介してもらった地方新聞社の報道記者で県警記者クラブのキャップを務めている片芝に電話を掛ける。
とりつく島のなかった片芝だったが「十の事実があっても新聞には一しか載らない。残りの九にこそ当事者にしかわからない真実があり、それを記事にしたい」という由美の言葉を受け事件の情報を淡々と語り出す。
出だしのこれだけでも期待感が上がるのだが、その後の展開がスゴすぎる。
社会派なネタも織り交ぜながら、物語はある姉妹の生い立ちに迫る。
これまでに映像化はされていないはずなのだが、柚月の描く場面はそれが目に浮かぶほどの臨場感。
本屋で目に留まったのを図書館に予約したらすぐに届いた!
(^-^)