2016年1月16日土曜日

砂の街路図

佐々木譲。

東京の私立高校で国語教師として教鞭を取る俊也が北海道の地方都市である運河町を訪れたのは、20年前にこの町で運河に転落して亡くなった父の死をめぐる事情を解き明かすためであった。

運河に囲まれ、南北500メートル、東西800メートルのそのエリアは石造りの倉庫やビル、クラシカルな建物で形作られており、異国情緒溢れる町並みは希少価値があるとされている。

父と母が通ったこの町の法科大学図書館で当時の父の様子を探した俊也は、漕艇部の活躍とその衰退に僅かな疑問を持つ。

20年前の父の足取りを追い、遺品の一つであったマッチブックの酒房を訪ねた俊也は、父が何のためにこの町に出掛けたのかを知る。

更に謎解きを進める俊也は、この町に隠された古い過去を知る羽目になるのだが…

確かに伏線はあったのだが、明かされる意外な真実に物語の深みが増す仕掛け。

久し振りの佐々木作品だったが、いい感触。
(^-^)

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