2012年7月22日日曜日

終末のフール

伊坂幸太郎。

小惑星が地球に衝突するまで後8年。

その発表がされてから5年が経ち、人々は初期の混乱から解放されつつあった。

仙台北部の丘に作られたヒルズタウンのマンションとその周囲に残された人々が、終末を迎える様を丁寧に描く。

アメリカ映画によくある感じではなく、繊細な日本料理を眼で楽しむ様な…

ちょっぴり寂しいけれど、希望を願いたくなる。
(^-^)

2012年7月21日土曜日

Birth

寺島摩利子。

自称「君」に声をかけられた「僕」。
君の誘いの文句は「ねえ、私と死んでくださらない?」だった。

囚われの身になり単調な時間を過ごす僕は、己の肉体を捨てて、新たな自身を誕生させる。

女って恐い…(-.-;)

真夜中の神話

新保裕一。

薬学部の助教授として研究に没頭していた晃子は、交通事故で夫と愛娘を亡くし、その反動かこれまでの連鎖反応促進酵素の研究から足を洗い、アニマル・セラピーとしてのイルカの介在療法にのめり込む。

イルカ研究の第一人者に会うため、単身インドネシアのタンココ自然保護区を目指すが、搭乗していた飛行機が爆弾テロにより墜落してしまう。

独り生き残った晃子は密林の奥地で静かに暮らす現地人に救われ奇跡的な快復をみせる。

奇跡の技を持つ少女は神か悪魔か…

2012年7月16日月曜日

英雄はそこにいる

島田雅彦。

特殊な遺伝子を持つ神出鬼没のD4ことサトウイチロウ。
彼は複数の未解決事件の真犯人であり、英雄であった。

慧眼のシャーマン、ナルヒコはその真実を霊視し続ける。

D4の行いは世界を救うためなのか、彼の遺伝子は後世に引き継がれることができるか。

marble的には…(-.-;)

2012年7月12日木曜日

黒と赤の潮流

福田和代。

超高校級のスプリンターとしてオリンピック出場の期待を背負った祐一は、不慮の事故で左脚を傷め引退を余儀なくされ、漫然と大学生活を送っていた。

阪神大震災で両親を亡くし、同じ時にタイ人の友人は殺されていた。

タイから日本へ密輸される麻薬や拳銃。

元刑事の古賀は、20年前の密輸現場で起きた事故によりその職を追われていた。

ある日、古賀と出会った祐一は、一連の事件に巻き込まれて行く。
失っていた情熱が再び蘇った祐一は、大人への道を歩み出す。

日本側の黒幕が明かす真実と犯罪者たちのけじめの付け方。

福田らしからぬプロットだが、たまにはいいかも。
(^-^)

2012年7月6日金曜日

クロスマッチ 止まらない心臓

大山尚利。

初読み。

図書館に並んだ装丁にインパクトがあった。

練りに練った感と最後のどんでん返しが肝なんだろうが、marbleには合わなかったかなぁ。
(-.-;)

2012年7月5日木曜日

任侠学園

今野敏。

任侠シリーズの学園もの。

図書館にあったので思わず借りてきた。

場末のちっぽけなヤクザの組長。
しかし、若かりし頃に大勢の仲間たちと兄弟の契りを結んでおり、その人脈は計り知れない。

潰れかかった私立高校の理事長として、学園再建のために乗り出す。

暴力団のフロント企業の社長を親に持つ学園の女王や、ダンスに打ち込むイマドキの女子高生、アイドルを追いかける様な男子生徒。

代貸の日村は、またしても苦労が絶えない。

このシリーズは痛快ですらある。
( ̄▽ ̄)

2012年7月3日火曜日

任侠病院

今野敏。

地元に根ざしたヤクザ。指定暴力団ではないことに意義を見出している。

親分は、困っている人を見過ごすことができず、潰れそうな出版社と学校を立て直した実績を持つ。
代貸の日村は、その度に並々ならぬ苦労を背負い込んできた。

そして、今度は潰れそうな病院に手を出すことに・・・

いやはや、コメディというか、ほのぼの感満載の任侠小説とでも言おうか。(^^)

妻が図書館で借りてきてくれたのだが、夕方から一気読みしてしまった。
明日から、読むものなくなっちゃった。
(;一_一)

2012年7月2日月曜日

新月譚

貫井徳郎。

49歳の若さで筆を折った、美貌の女流作家。
彼女が産み出した作品は、多くの文学賞を総なめにし、読者を魅了する。

表面上は大人しいがその奥に人を傷つける刃を潜ませるその作風は、それとは気付かせなくとも心を抉りとる。

中学時代に魅了され、編集者の道へ進んだ敏明は、57歳になったベストセラー作家に目通りを許される。

彼女が敏明に語る長い闘いの物語は、自身の壮絶な半生であった。
一切の秘密を敏明に語る気になった、彼女のつまらない理由とは…

新月の様に、本来のその姿を隠して生きる女の物語、というところか。
560ページを一気に読ませる質の良さに脱帽。
( ̄▽ ̄)