「孤高のメス」のスピンオフとも言える本作の上下巻。
乳癌を宣告された看護婦の中条志津は、遠く離れたひなびた炭坑町の病院で手術を受けることを希望する。
納得のいかない家族たちの思いをよそに単身治療に向かう志津が慕うのは、かつて自身が愛した男、外科医・佐倉周平その人で、20年の歳月は彼を乳房再建術をも手技の一つとする優秀な医師に育てあげていた。
病魔と戦いながら不義の愛に生きた志津。
佐倉との間に身ごもった愛娘の三宝に残した彼女の形見の日記と小説「緋文字(ザ・スカーレット・レター)」。
自信の生い立ちを知った三宝が取った行動は、同作の完結編へと続く。
離島の病院で病院長として働く佐倉は、三宝を姪と偽り近くに置いて見守っていた。
そんな彼が国境なき医師団で働く看護士の朝子に惹かれ、その想いは募るばかりであった。
佐倉は降りかかる数々の災難を乗り越える事ができるのか。
物語の意外な結末に著者の思いが垣間見える。
上巻から十数年の時を経て出版された完結編までを一気に読むと時代の移り変わりを感じる。
重たいテーマが盛り沢山なのだがストーリーは秀逸。
(^^)
0 件のコメント:
コメントを投稿