2012年4月24日火曜日

震える牛

相場英雄。
捜査一課継続捜査班。
迷宮入り寸前の目立たない未解決事件を扱う規則正しい部署。
上司からある強盗殺人事件の再捜査を命じられた田川は、ずさんな初動捜査とキャリア指揮官の間抜けな筋読みを恨みながら、事件の真相を手繰り寄せる。
巨大ショッピングセンターに取って替わられた地方都市の商店街。そして安価な食材を生み出す禁断の技術。
「幾度となく、経済的な事由が、国民の健康上の事由に優先された。秘密主義が、情報公開の必要性に優先された。そして政府の役人は、道徳上や倫理上の意味合いではなく、財政上の、あるいは官僚的、政治的な意味合いを最重要視して行動していたようだ」
この一節に象徴される日本の未来は何処へ向かうのか?
いや、なかなか面白かった。
( ̄▽ ̄)

2012年4月4日水曜日

エチュード

今野敏。
渋谷、新宿の交番の目前で起こる無差別通り魔殺人事件。
被疑者は現行犯逮捕されるのだが、不可解な現象がベテランの刑事たちを悩ませる。
鍵を握るであろう善意の市民が姿を眩ますという事件の特殊性に対抗すべく、警察庁の心理調査官が特捜班に加わる。
犯人との心理戦が、美人心理調査官を悩ませるのだが、ベテラン刑事の助けにより、プロファイリングは一気に進む。
初めての捜査、男ばかりの帳場に戸惑う調査官を助ける刑事。
家庭に悩む刑事を救う調査官。
まずまず。(^-^)

2012年4月1日日曜日

初陣 隠蔽捜査3.5

今野敏。
暫く忙しかったので久しぶりの図書館。
竜崎シリーズ第四弾「転迷」を伊丹刑事部長の視点で描いている。
こちらの方が出版は先だけど…

降格人事を受けた大森署署長の竜崎と、小学校の同級生で入庁同期の刑事部長の伊丹。
タイプは違うが、難題をあっさり片付け、部下からの信頼も厚い二人のキャリア警察官僚。
世間は二人の仲と資質を特別視するのだが、二人が抱く感情は全く違うものなのである。
面白いのは、4では豪快なイメージの伊丹が見せる3.5でのギャップ。
コンピレーション作品として、2冊並べて読みたい。(笑)
( ̄▽ ̄)